きゃりーぱみゅぱみゅの魅力

最近,雑誌の表紙の色合いがやたらカラフルでポップ。春だからというのもあるかもしれないけど,それ以上に写っている女の子たちの衣装がカラフルだからじゃないかと思う。特に,きゃりーぱみゅぱみゅ。ざっと見るだけでも,彼女が表紙の雑誌が2,3冊は目につくというのがここ数か月の日本の状況。ついに彼女は『anan』の表紙にまでのぼりつめた。ちなみに10代の女の子がこの雑誌の表紙に載るのはかなり珍しいことで,ざっと1年分の表紙を見なおしても彼女は異彩を放っている。すると気になるのが人気の秘密。なんでそんなにきゃりーぱみゅぱみゅが人気なのかを考えてみた。

 

最近きゃりーぱみゅぱみゅを知った人は,その奇妙で言いにくい名前とデコレーションケーキのような外見に興味をそそられるというのが多い気がする。

わたしも初めてその名前を中学生から聞いたときは,てっきりグループ名か,「ポムポムプリン」的なキャラクターの名前かと思っていた。そしたら人の名前というじゃないか。しかも,その教えてくれた彼女もわたしも噛んで上手く発音できない。間抜けにも何度もくり返すはめになった。

調べてみると正式な芸名は「きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ」らしい。かわいい言葉を詰め込んだそうだ。まさに平成の寿限無!呼んでいるうちに歌が始まってしまうほどの長さ。

 

そのかわいい言葉を詰め込むという思想は,彼女のファッションにも表れている。新曲の「CANDY CANDY」のアー写を見ると,頭におよそ30体の動物のぬいぐるみで頭をおおっている。また,他の画像では紫の髪のうえにピンポン球サイズのカラフルな球体を10個ほどつけ,おなじ柄のリボンと凶暴に歯をむいた鮫の人形がのっている(ちなみ鮫が大好きな彼女にとっては,この人形はかわいいものにカウントされる)。とにかく,柄に柄を組み合わせ,あらゆるものをトッピングしても成立する彼女のファッションには,独特の雰囲気が流れている。

 

いや,それって独特なのか。15年くらい前に流行った篠原ともえだって,似たような奇抜さでブレイクしていたじゃないか。いや,もっと遡れる。清少納言の『枕草子』の「うつくしきもの」にだって「ひなの調度。 はちすの浮き葉のいと小さきを、池より取り上げたる。 葵のいと小さき。何も何も、小さきものはみなうつくし。」とあるし,小さいものやそれが集ったものって,古来から日本の女の子や女性がひかれるものなのかもしれない。思い当たる節はいろいろとある。リカちゃん人形やシルバニアファミリー,おせち料理,和菓子,着物の柄……。すると,きゃりーぱみゅぱみゅは見事その日本の伝統的なかわいさを継承したタレント。細々したものを集める日本の「かわいい」の現在形なのかもしれない。

 

text by小池けい子